日創研南大阪経営研究会
4月度経営理念委員会

開催日:平成23年4月28日(木) 18:30~
場所 :堺市産業振興センター

「三位一体で創る経営計画書」
~社内の声を活かす!経営計画書作成

講師: 有限会社アルシュ 代表取締役社長 鈴木欣昭氏


今回は経営理念委員会の指導の下、4月、6月、8月の3回コースで経営計画書を作成する勉強会の初回に当ります。講師の鈴木氏は自社の事例を織り交ぜながら、経営計画書を作るとどんなメリットがあるのかを中心に分かりやすく解説してくださいました。

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<経営計画書って?(再認識)>
経営計画書は、現在地から経営理念や経営ビジョンを達成していくための道筋を指し示す「地図」「羅針盤」だと云われています。経営計画書には、我社の強さと弱さ(内部分析)と自社の市場環境の認識(外部分析)を組み合わせることで、来年何を攻め、何を育て、何を守り、何を捨てるのか(クロッシング)が分析され明解に描かれています。


<経営計画書を三位一体で分析すると・・・>
この経営計画書を社長一人だけでなく、三位一体(全社員)で分析し計画する過程にこそ、経営計画書を作るメリットがあるのです。
・ 一緒に作ると、一緒に目標に向かっていける。当事者意識が育つ。
・ 内部と外部を分析することで、全社員が自社の現状を把握しやすくなる。
・ 一緒に分析すると、異なった視点が出てくる。現場の生きた声、お客様の声が分析過程で聞こえてくる。
・ 全社員のいろんな知恵が集まってくる。
・ たくさんの違った目で見ることが出来る(知覚差異がたくさんあった方がいい)。
上手くいっている会社は、現場の社員さんが今日~半年後の現在を見る視野を持ち、上司の幹部が半年~1年後を見る視野を持ち、社長が1年~2年先の未来を見る視野を持っています。社長が現場ばかりを見ていてはいけないのです。しかし、社長が先ばかりを見ることによって現場や現実を見落としがちになります。だからこそ分析する過程で、三位一体のすべての視点から見える情報を統合して分析を行うのです。

*全員参加型経営すなわち三位一体経営のスタートは経営計画書を作ることにあります。

*経営計画書を作る過程で全社員に経営的視野を養う教育ができるのです。

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<分析過程での留意点>
社長=【ボトムアップできる環境作り】
    情報を与えても、影響を与えない。影響力の強い人はいらない。
部下に任せて現場を離れ、外部の情報収集を怠らないこと。


幹部=【管理的視点で分析】
    現象面だけで見るのではなく、その隠された要因を探る。


現場社員=【お客様の声・現場の声を反映】
    内部分析・・・同業他社と数値的比較(常に顧客視点、業績向上の視点で分析)
    特に、自社の弱みを分析の時、顧客視点で業績を上げる為の分析を行うこと。


自己都合、不平・不満を挙げるべきではない。これを解消する手立てとして別シートで「我社の問題・課題」に不平・不満を書かせる。


<経営計画書 作成の流れ 我社の事例>
①8月中旬から10月上旬にかけて、「我社の強み・弱み」、「市場環境の認識」、「我社の問題・課題」、「クロッシング」の4つのテーマに対して、それぞれ最初に全社員が分析し、その情報を方針会議で幹部社員と一緒に絞り込むとこと繰り返し、ブラッシュアップしていく。


②全社員が分析してきた「クロッシング」をもとに、今度は社長一人で「社長中期方針」と「社長年度方針」の運営方針をそれぞれ3つ~4つ考察する。


③10月中旬に1泊2日の幹部合宿を開催し、「社長中期方針」「社長年度方針」の承認、運営方針の目標と責任者を決定し、5W1Hの計画を立案する。


④11月中旬には計画を計画責任者が考え確定する。社長は入らずチェックするだけ。


⑤年内に計画実行の準備を行う。


⑥年初の総会で現場の声をどう拾い上げているかを伝え、当事者意識を高める。
以上の流れで経営計画書を作成しています。


その成果として、二つの事例を挙げます。
一つ目は、社長は現場に行かないので現場を知りません。現場の社員さんが自分たちの弱みとして「技術スピードが遅い」「技術力にムラがある」と吸い上げるべき課題を提示してくれました。社長が一番、現場が見えず、社員さんが一番、現場を見て知っているのです。


二つ目は、髪を染めるスパンがあき始めた要因として、他店との競合によるものではなく、ホームカラーが伸びてきている要因を分析した。結果、競う相手は競合他店ではなく、ホームカラーと戦う方法を考える。他店なら値段でも戦えるが、ホームカラーには値段では戦えない。よって、クオリティを高めることで戦うこととする。要因が違えば、戦い方が違ってくる。

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<三位一体で作成することにより>
①:理念の浸透
・ 作成過程において、社員さんや幹部との対話を通して念いが通じ合う。
・ 経営計画書の内容が理念と合っているのかを常にチェックする。
②:目的(何のために・・・)の共有
・ やらされてる感が無くなる。
・ これをやることで、お客様がどう変わり、会社がどう変わり、自分たちもどう変わっていくのかが見えてくるので、何のためにやっているのかを共有することができる。
③:責任感が増す
・ 貢献欲求が満たされる。自分も会社の役に立っていると実感できることで責任感が増す。
④:会議の議題が明確
・ その瞬間に感じたことを場当たり的に会議することの解消。
・ 方針に対する進捗はどうか?計画通りに行かないのが当たり前。経営にスピード感が出る。
⑤:課題の達成・問題解決・業績向上につながる
・ 全員参加型経営が実践できる。
・ ゴールが明確になると業績向上につながりやすい。社員さんのベクトルを合わせるということは、やらなくて良いことが明確になり、スピード感が上がる。


自社の事例として、2008年に提議された三つの課題対する対処と、その成果を発表して頂きました。
「人口減少」により新規顧客の増大より既存顧客の囲い込みへの手法を取る。
「お客様の来店サイクルが長くなってきた」ことへの対策として、カウンセリングの仕組みを「今日、どうしましょうか?」から「1ヵ月半後の予約をどうしましょうか?」に変化させていく。その為に、先のことが話せるような新たな教育を導入する。
「顧客の年代がスタッフと共に上がってきた」ことへの対処として、ミセスならマナー教育や言葉使いを変える必要があり、その為の教育を実施する。


これらの対策によって、減少が見込まれた来店客数は創業以来、2008年を超えた現在も益々伸び続けているという大きな成果を作られています。

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最後に、鈴木講師はこう締めくくられました。
「三位一体経営とは、「社長」「幹部」「現場社員」が経営理念という枠の中で、組織の目的・目標を達成するために、共に助け合い、自らの使命・責任を果たし顧客満足を創り出す経営である。

社長と社員の責任は違う。責任を明確にしているのか?自分の使命・責任を与え、明確にすることが三位一体経営につながる。


ご講演の後、参加者全員がグループに分かれて、三位一体で経営計画書を作成している会社の人は、工夫していること、効果性、今後取り入れたいことを、三位一体経営をしていない会社の人は、今後どのように作成していこうと思うかを話し合い、発表しました。

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鈴木講師には、経営計画書の作成のメリットや意義を分かりやすくお教えいただき、これから続く6月、8月の委員会が待ち遠しくなるような素晴らしい講演を賜り、参加者一同、深く感謝申し上げました。
以上
(小林 敏恒)