日創研南大阪経営研究会    6月度経営理念委員会

開催日:平成23年6月22日(木) 18:30~
場所 :堺市市民会館

「三位一体で創る経営計画書 第Ⅱ弾」 ~自社分析による経営計画書作成術~

講師: 株式会社 アン 代表取締役 築林篤司氏

今回は経営理念委員会の指導の下、4月、6月、8月の3回コースで経営計画書を作成する勉強会の第2回目に当ります。講師の築林氏は、経営計画書で重要な分析の部分を自社の事例を交えながら、日本で一番簡単に分かりやすく説明してくださいました。


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<1> 経営計画書

1)私たちの置かれている現在の日本の環境とは?

・日本には企業が400万社あり、その99%が中小企業です。その内、70%が赤字企業です。しかし、我々経営研究会の会員企業は66%が黒字企業であり、その黒字企業の内の91%が経営計画書を作成しています。経営計画書を作っている会社は、黒字化しやすいと言えます。

・日本の15~64歳の生産年齢人口は、2020年には7%減って56.5%になり、逆に65歳以上の高齢者は7%増えて30%になります。社会構造が急速に変化し続ける現在、私たちは消費人口減少社会への対策を、今から計画的に実行する為に経営計画書が必要不可欠となります。
 (記述者推薦 参考文献:「デフレの正体」藻谷浩介著 角川ONEテーマ21 \724)

・一人当たり平均給与は1997年の467万円から2008年の430万円に落ち込み、翌年には406万円まで下がりました。20歳代の給料は男性を女性が上回りました。この400万円所得時代に対する対策を自社で考え、計画して実行する経営計画書が必要です。


・私も過去はK(勘)、K(経験)、D(度胸)、H(ハッタリ)で経営してきましたが、これからの時代、KKDHだけで経営するのは難しいと思います。社長一人でなく、社員全員で作り上げた経営計画書が必要な時代です。

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2)経営計画書とは

経営計画書は、現在地から「目的地 = ゴール」へつなぐ「道筋・道順」を示した「ロードマップ」「羅針盤」だと云われています。
・「目的地 = ゴール」とは、達成したい経営理念、経営ビジョンのことです。
・「道筋・道順」とは、目的地にたどり着く為の「戦略・戦術」のことです。
・「戦略」とは、過去からの歩みを止めて、新たにどの道を進むのか?何をする(What)のか?を取捨選択することです。
・「戦術」とは、過去からの延長線の上で、どうやって(How to)やっていくか?という方法を考えることです。

3)経営計画書を大枠で掴む

○ 時間軸で経営計画書の大枠をつかむ

【過去分析】=「社歴」
経営者や会社の考え方の癖やパターンを分析します。
<事例> 14~15年前の美容バブルの時代、築林社長は大量出店を行ったため、不足した人材をとにかく中途採用して、人材育成どころではなかった。しかしその結果、大量の退職者が発生。人材を育てないで出店してはダメだと学ばれました。

【現状分析】=「わが社の強さ・弱さ」「市場環境の分析の当面」
3C分析をすると現状を分析しやすい。

カンパニー  :「自社の強さ・弱さ」を自分達で考えます。
コンペティター:自分達で考えた「自社の強さ・弱さ」は、自分達の思い込みや独りよがりでないかを、ライバルを分析し自社と比較検討することで本当の「自社の強さ・弱さ」を明らかにします。
カスタマー  :市場や顧客の現状を「市場環境の認識」の「当面」で分析します。

<事例>彼女になって欲しい女性(カスタマー)の好みを分析し、あなた(カンパニー)に無いものを持ったライバル(コンペティター)の魅力(強さ)を知った上で、自分のどの魅力(強さ)で彼女にアピールしていくのか?を考え彼女をゲットします。これが現状分析です。

【未来創造】=「市場環境の認識の2~3年後」「クロッシング」
「過去分析」から自分達の考え方の癖・パターンを知り、「現状分析」で自社の市場・顧客を認識し、ライバルと比較した自社の強みと弱みを分析します。それらの分析の上に立ち、2~3年後の市場や顧客に対して「クロッシング」で戦略的意思決定を行い、自社の未来を創造するのです。


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<2> 経営理念

1)経営理念とは = 私たちが目指すゴール

企業の存在価値を表し、経営活動をする上での基本的な拠り所(最高の価値基準・判断基準)となるものです。

◆経営理念の役割
①ベクトルを合わせる:社員全員が会社の目指す方向と同じ方向に向かうようにする
②モノサシになる:経営活動すべての判断の基準であり、会社の価値を決める基準となる
③パワー、エネルギーを生み出す:40℃の熱が出ても、理念を考えたら、元気になれるか?
④モチベーションを上げる
⑤カルチャー(社風)を創る
⑥オンリーワンになる

注意:理念は作るのが大変なので、初めて経営計画書を作る方は「どんな思いで経営しているか」「どんな考えで経営しているか」を先ず書き込むところから始めてください。

2)経営ビジョンとは = 企業が将来こうありたいと思う姿・将来像のこと

◆ 良い経営ビジョンの5条件
①夢を感じ、やる気になるもの
②経営理念と合致していること
③経営環境に適合していること
④全社員が共有していること(全員が見えている、イメージできている)
⑤実現の可能性があること(自社の強みが活かせていること)

<事例>annさんのビジョンは「美容室のディズニーランドをつくる」。このビジョンに共鳴して入社される新入社員さんもおられます。築林社長はディズニーの①非日常性、②永遠に完成しない、③毎日が初演 をこの美容室で実現したいと望んでおられます。

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<3> 経営計画書の作成手順

<社歴 と 外部環境>
会社の歴史に影響を及ぼした内部要因(社歴)と外部要因(外部環境)の分析。会社の履歴書。
* 現在の理念や会社の方向性が形成、決定された過去の内部・外部の要因を明らかにして、社員さんと共有する。
<事例>なぜ、美容バブルの時に大量出店したことが大量退職につながったのだろうか?当時の自分はイケイケだった。これを反省して人材育成に全力で取り組んだ。今、業績が良いのは、あの時に人材育成を始めたお陰で、現在、素晴らしい人材が育ってくれたからです。

<我社の強さ・弱さ>
自社を下記の項目に分けて現状分析する
管理 = 会社内部のこと(経営、財務、報連相のシステムなど)
商品 = 会社外部のこと(営業、販売商品、サービスなど)

管理と商品にこだわることなく。自社に合った項目に分類すればよい。初めての人は商品、人材、経営、財務、管理くらいから始めてみると分析しやすい。

注意点
*客観性が重要(出来るだけ定量化・数値化する)
*思い込みの罠にとらわれて、自社を過小評価、もしくは過大評価していないかをチェック
*その為にお客様にアンケートをしたり、自社とライバルを比較分析すると効果的

<市場環境の認識>
自社の置かれている市場の現状把握と市場の将来性を分析する。
先ほどの事例で考えると、彼女は何を求めているか?どんな人が好きなのか?を把握することにつながる。

注意点
*業界の常識にとらわれないことが重要
 同業他社は伸びる市場に出て行こうとする。当たり前の市場で良いのか?「人の行く裏に道あり花の山」という格言どおり、常識にとらわれず他社と違う市場を開拓せよ。


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<事例1>15~16年前のannさんには全世代のお客様が来店されていた。その頃、団塊ジュニアのヤングは、市場は大きいが若い子はお金を持っていないというのが業界の常識だった。しかし、築林社長はヤングを狙い見事に売上を伸ばす。実は、ヤングはシックスポケットと言われるほどお金を持っていた。業界の常識にとらわれてはいけない。

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<事例2>広島の白鳳堂さんは習字の筆を作っていた。その市場は先細りだったので、新たな伸びる市場としてメイク用の化粧筆を販売し、会社を世界に飛躍させる。視野を広げて市場を見渡すと、自社が求められている市場が見つかる。

<クロッシング>
「強さと弱さ」と「市場の認識」の組み合わせを検討する。

*変化を恐れず「1/4を積極的に捨てる」ことで新しいことに挑戦していかなければならない。何かに特化していくために、何を捨てるのか?
*このクロッシングが一番楽しいところなので気楽にやってください。とにかく先ず書いてみることです。

【攻める】 自社の強み ➚ 市場が伸びる ➚
[積極的攻勢] 強みを生かしてチャンスをつかむ。ここで儲ける。

【守る】 自社の強み ➚ 市場が伸びない ➘
[差別化戦略] 他社にとって伸びない市場でも、自社の強みをぶつけて機会に転化し生かす。
             <事例>他店がやっていない店販をやり続けて、annさんは収益を上げた。

【育てる】 自社の弱み ➘ 市場が伸びる ➚
[弱点強化] 事業機会があるので、弱みを克服して強みに転化するチャンスを伺う。
            自社に無い商品や人材に投資し育てていく。

【捨てる】 自社の弱み ➘ 市場が伸びない ➘
[防衛] 弱みを放棄して強みの強化に資源を配分する。
          どこに無駄があるのか?身体と一緒で、いつのまにか贅肉がついてしまっているので、チェックして削ぎ落とす必要がある。

以上で講義が終わり、それぞれの項目に関して周りの人とディスカッションが行われた。

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築林講師は、さすがに経営研究会本部の講師をされているだけあり、経営計画書の要点を丁寧に説明されました。随所に自社の事例を出され、我々が具体的に理解する手がかりになりました。

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また、そればかりでなく、当たり前のことですが、今は素晴らしい経営をされている築林社長にも経営計画書を作り始めた初心者の頃があり、先ずは経営計画書をとにかく書き始めて見ること、そして毎年、磨き上げながら社員さんを巻き込み三位一体で継続していくことで、素晴らしい会社を創り上げることができることを教わりました。

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先ずは、経営計画書を書き始めること。幹部さん、社員さんと共に自社を分析し始めることここからすべてが始まるのだと教わり、参加者一同が深く感謝申し上げました。

以上


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