日創研南大阪経営研究会8月度経営戦略委員会 例会レポート
                         広報委員会 風元 直行

開催日 : 平成23年8月26日 18:30~
場所 : 堺市産業振興センター(4Fセミナー室)
タイトル : 不況業種の戦略 「誇れ助っ人稼業 敢然と飄々と」
講師 : 水谷工業株式会社 代表取締役 京極 盛 様

8月度の戦略委員会例会は本部レクチャラーの京極氏をお招きして、100名の定員を大きく上回り立ち見が出るほどの大盛況の中行われました。

講師の京極氏は愛知県で学校や公共施設の耐震工事(あと施工 アンカー工事)を行う建設業を営んでいます。不況業種と言われる建設業界でどのようにして業績を伸ばしているのでしょうか。3Kと言われる業界で職人さんをやる気にさせる戦略とは・・・

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京極氏は冒頭に「施工を売るより職人さんの人柄を売りたい。それが差別化になる。」このようにおっしゃっていました。今までの職人さんは、仕事は出来るが会話が出来ない。無愛想で少し怖い、近寄りにくい。そんなイメージを持っていましたが、京極氏の講演を聞いていくと職人さんのイメージがガラッと変わって行きました。


先代社長が亡くなられて事業を継承された京極氏は、現場の職人さんの職人気質に戸惑いを感じました。下請け根性で「言われたことだけをやればいい。サービス(付加価値)と言うことの意味がわからない。」これでは競合他社と変わりがない。そこで京極氏は「建設業の職人さんを教育する!!」という、斬新な発想で社内改革を始めました。


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職人さんを教育すると言っても一筋縄では行かないのは当たり前、理解がもらえず退職する職人さんは後を絶たなかったそうです。それでも京極氏は脱・職人気質に真剣に取り組み、少しずつ社内改革を実現していきました。はじめは、社内勉強会の設問表に1行にも満たない回答しか書かない職人さんに、京極氏が余白いっぱいまでコメントを書き職人さんに返すと、次第に行数が増え今ではコメントを書く部分が無いくらいになっているそうです。

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また、京極氏は若い人材を得るために新規大卒者の雇用を積極的に進めていきました。「えっ!建設業の現場に大卒の採用」と思われる方が大半で、採用内定者の家まで行き家族に会社説明をして「大切なお子さんですが、私を信じてあずけてください。」とお願いに行くエピソードもあったそうです。この京極氏の情熱が職人さんにも伝わり、水谷工業様の確固たる基盤になっているのではないでしょうか。

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一方で社外に向けての戦略にも素晴らしいものがあります。
1回の施工でずっと受注を頂く仕組み作りとして、職人さんの顔写真入りの「助っ人名刺」や「助っ人カレンダー」を活用して職人さんの顔を現場監督に覚えてもらい安心して仕事を任せてもらう。

名刺交換を積極的にさせ、現場の方に「職人なのに名刺あるんか。」とインパクトをあたえ、現場から戻ったら交換していただいた方にお礼や現場で気づいたことを直筆で書かせ、宛名は事務の方に書いてもらう。
そうすることにより職人さんが自分で書いた御礼状だと分かる仕組みです。

これらを実践することにより今まで現場で会話のなかった職人さんがお得意様と接する機会を増やせ、人柄を見てもらい「また頼むね。」、「明日もよろしく。」とお声を頂けるようになったそうです。


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今では建設業の職人と言うより現場監督支援業の達人と言っても良いのではないでしょうか。「ライバルがやらないことを教育の視点とし実践する。」「小さな取組みを大切にして積み重ねること。」学ぶ姿勢や職人らしさを浸透させ、不況と言われる建設業界に新しい風をおこした京極氏の情熱は、他の不況業種も見習わなければならないと思いました。

「敢然と飄々と」 困難と解かっていても立ち向かい、当り前のように行う。今の日本の世の中で忘れてしまっている気質。これが本当の職人なのではないでしょうか。

以上

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